Welcome back, Paul!!

8年前の2015年に3か月間インターンシップ生として所属されていたPaul Noëlさんが今度はNoël博士として来研され、セミナーをして頂きました。8年前のメンバーはほとんど残っていませんが、実験室や装置など当時あったものを見つけて、懐かしんでいらっしゃいました。夜には一緒に食事にも行きました。Paul, a plus!!

SeドープPtBi2の薄膜超伝導に関する論文

PtBi2という極性構造をもつ超伝導体に、Seをドープすることで、非極性構造の超伝導体に変わり、それに伴って超伝導転移温度が上昇することが報告されていました。そこで我々は、機械的剥離法を用いてSeドープPtBi2を薄膜デバイスに加工したところ、膜厚60 nm程度までは超伝導転移温度が高いまま維持されること、またファンデルワールス超伝導体としてこの超伝導体が非常に有用であることを見出しました。本研究は工藤研究室との共同研究です。JPS Conf. Proc. 38, 011036 (2023).

原子層反強磁性体で観測されたスピン・フロップ転移の磁気ヒステリシスに関する論文

(Fe1-xCox)5GeTe2は、Coの置換率xに応じて、垂直磁気異方性を持つ強磁性体から面内磁気異方性を持つ強磁性体、さらにxが0.4以上になると、面直反強磁性体になることが知られていました。この論文では、薄膜デバイスでも同様の性質が保たれること、垂直磁気異方性が薄膜の方が強いことを見出しました。さらに反強磁性体では、面直磁場を印加すると2.5 T付近でスピンフロップ転移を示しますが、そこにヒステリシスが現れることを発見しました。この特性を利用した新しい機能を持つ原子層デバイスへの応用が期待されます。本研究は沖縄科学技術大学院大学の岡田佳憲准教授との共同研究です。Applied Physics Letters 122, 152402 (2023).