鉄系超伝導体の一種であるFeTe0.6Se0.4を機械的に剥離して、薄膜デバイスを作製し、磁束のピン止め機構を調べました。その結果、およそ100 nmでstrong pinningからweak collective pinningへとクロスオーバーすることを解明しました。工藤研究室中島正道助教との共同研究です。Physical Review B 104, 165412 (2021).
投稿者: nanoscale_admin
2021年度院試お疲れ様会
昨年に引き続き今年も院試後に行われていた飲み会が行えませんでした。そこで、換気をした部屋で、十分に距離を保った状況で昼食会を開きました。浅間さん、前田さん、お疲れ様でした!来年こそ飲み会!!
ナノスケール物性研究室の発足
2021年10月1日にナノスケール物性研究室が発足し、ウェブサイトを立ち上げました。今後とも宜しくお願いします。
原子層デバイス (Atomic layer devices)
通常の3次元系と異なり、次元が低くなると、特異な現象が現れます。このような系は「低次元系」と呼ばれ、物性物理の分野では古くから研究されてきました。これまで低次元系を実現できる系として、主に半導体ヘテロ接合を用いた2次元系、さらにゲート電極などで狭さく化した1次元系などが研究されてきました。21世紀に入って、2次元グラファイト(グラフェン)が発見されて以来、グラファイトのように劈開性のある結晶を機械的に剥離することで、理想的な2次元系を比較的簡便に得られるようになりました。当研究室では、超伝導や磁性などの特性を示す結晶を、グラフェンと同様に原子レベルまで薄くしたデバイスに加工して、原子層デバイス特有の物性を観測します。その一例として以下のような論文が挙げられます。また一部の論文については、プレスリリースをご参考ください。
スピン流とスピンゆらぎ (Spin current and spin fluctuations)
スピン流はスピン角運動量の流れであり、電子の電荷とスピンの2つの自由度を取り扱うスピントロニクスの根幹を担います。多くのスピントロニクス研究では、スピン流を用いた低消費電力デバイスの開発が中心に進められています。一方で当研究室では、スピン流を用いて固体素子中のスピンのゆらぎを高感度に検出すること、さらにその学理の構築を目指しています。その一例として以下のような論文が挙げられます。また一部の論文については、プレスリリースをご参考ください。
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超伝導スピントロニクス (Superconducting spintronics)
通常の超伝導体中では、スピンアップとスピンダウンが一重項状態の対を組む「クーパー対」が形成され、電子のスピンが情報を伝播するスピントロニクスとは相性が悪いと思われています。一方、当研究室では磁性と相性の良い超伝導体とスピン流を組み合わせることで、新しい量子現象の観測と制御を目指しています。その一例として以下のような論文が挙げられます。
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